MOTHER(マザー)は言わずと知れたファミコン全盛期に発売された【超】が100億個はつくほどの人気作品。
超一流コピーライター「糸井重里」さんが監修・企画・設定・シナリオのすべてを手掛けた任天堂の超大作RPGということで有名ですね。
音楽がこれまたノスタルジックで最高なんだよなぁ。
ムーンライダーズの鈴木慶一さんが担当されていますが、文句の付け所がマジで一個も見当たらないオンリーワンの作品!
ネットなどではちょいちょい【MOTHER2 ギーグの逆襲】の記事の方が目立つような気がして、シリーズ3作品の中で最も人気が高いようにも感じられますが、いやいや…。
断然オススメは
1ですから!
はい、ファミコンリアルタイム世代のちょいとクセのある編集長のだださんです。
今回はこの超名作 MOTHERというゲームが怖いという話を書きたいと思います。
“「エンディングまで、泣くんじゃない」”
がウリのゲームなんですが、この一言に作品の全てが詰まっています。さすがは糸井重里さんですね。
あと“名作保証。”なんてキャッチもありました。
当時、ゲームは娯楽であり泣くなんて言うことはまず無かったように思います。
小学生5〜6年生だった私は24時間ファミコンのことしか考えていないような子だったので、テレビで新作ゲームのCMが流れるとそれだけでとても嬉しくなり、食い入るように見ていました。
この頃(1980年代後半〜90年代初頭)のファミコンのCMは少し大人に近づいてきた小中学生がターゲットになってきたためか、ゲームの映像よりもイメージを重視したものが増えてきたように思えます。
特に任天堂はファミコンウォーズ、ファイアーエムブレム、そしてMOTHERのCMが印象的でした。
ゲームの映像を一切出さずに「軍のトレーニング」であったり「オペラの舞台」だったり「映画のワンシーンの様」であったりと、ゲームそのものの世界観を伝えるようなCMが特徴でした。
反面どんなゲームかまったく分からないのですが、どれもかなり売れた名作ですよね。
そんなMOTHERのCMで、このキャッチコピーが出てくるわけですが、正直当時は全く刺さりませんでした…。
けれどもこのコピーは一度聞いただけでスッとインプットされるほどに印象深く、記憶にバッチリ残っています。
そして大人になった今では、この素敵なキャッチコピーが心にグサグサと刺さりまくっています!
泣ける・感動するゲームということで、さてどんな内容なのかと
このゲームを実際にプレイしてみた印象は…
おいおいおい、感動の前に恐怖だよ!!
心の奥の方にゾワ〜っとくるような怖いシーンが多くて、泣く以前の問題作ですよ。
MOTHERというゲームは怖い と思う理由その①
工場が広すぎて怖い。
当時、日本でも大人気だった映画と言えばE.T.やグーニーズやスタンド・バイ・ミーといった大人が知らない所で子ども達だけで冒険をする!みたいな作品が多い時代でした。
このMOTHERの世界観も80年代後半頃のアメリカの架空の地域をイメージしたものなのですが、醸し出される匂いがまさに今挙げたような映画作品の雰囲気なんです。映画を見て憧れた古き良きアメリカの田舎って感じで。
※この印象はMOTHER第一作目が特に強いと思います。
それまでのドラクエやFFなどに代表されるファンタジーRPGの世界ではなく、かなり現実に近い身近な設定であるということにゲームキッズたちの心は「なんか新しい!」とワクワクしたものです。
ええ、序盤のうちはね…。
旅を進めていくうちに【ダンカン工場】という超巨大な工場に行くことになるのですが、巨大迷路のようなあまりの広さと敵のエンカウントの多さにだださんは、ジワジワとなんとも言えないトラウマレベルの「怖さ」を感じはじめました。
迷いに迷った挙げ句、目的の場所に辿り着けないまま、ふと気が付けば外は夕暮れ。
ゲームをしている部屋も薄暗くなりテレビ画面には無機質な工場が映っている。
ゲームを止めようにも中断セーブも出来ないのでひとまず工場を出るしか無い。でもその出口がわからない。
そして台所から確実に送られてくる母親の「いつまでピコピコやってるんだ」という怒りのオーラを背中に感じながらどうにかこうにか攻略する恐怖は、今の子達に伝わるだろうか?
無機質な場所がとにかく怖い。
全体的にはアットホームで暖かい世界観とBGMで繰り広げられる本作だが、時々登場する
「無機質な雰囲気」
これがまぁ怖い。お化けが出そうな館の地下とか誰もいない動物園とかは別に良いのです。
工場や湖底の研究所のような無機質な場所が誰もいないわ、ヒンヤリしているわでものすごく怖い。
例えば工場内部にだってNPCでもいれば少しは怖さも和らぐというものですが、誰もいないしBGMはプシュープシューだし、精神的な怖さがあります。
そう、無機質なBGMも相まって怖いのよ。
MOTHERというゲームは怖い と思う理由その②
たまに敵が怖い。
序盤で動物園を散策するシーンがあるのですが、普通に敵でゾウとか出てきます。
無人の動物園を散策していて、急にゾウに出会っただけでも身体が硬直するだろうに、そのゾウが狂って襲いかかってきた場合、バット1本で相手に出来る?
しかもゾウのグラフィックがまぁまぁリアルなので怖いのなんの。
しかし、地球上の生物ならまだマシ。
このゲーム、段々とストーリーの様子がおかしくなってくるのですが後半に出てくる敵キャラ『スターマン』が当時の私は本気で怖かったことを覚えています。
巨大な敵がマジで巨大すぎて怖い。
CMでもそれっぽいのが出てくるのですが超巨大なロボットの敵がいるんですよ。
それがコチラの3体。
『R・7037』
『R・7038』
『R・7038XX』
プレイヤーから見て、下から見上げるようなアングルで描かれていることもありその巨大さが窺えるのですが、どうやっても太刀打ちできそうにない激ヤバオーラを醸し出しています。
このロボットのグラフィックを作った方はすごいですね。結構トラウマレベルの恐怖を与える、冷たく無機質なデザインなんですよ。
大きな建物が少なく、自然の多い80年代の田舎の雰囲気に対して、全く真逆のベクトルにある無機質で冷たい建物や巨大なロボットがミスマッチすぎるからでしょうか?
余談ですが、キアヌ・リーブス主演の『地球が静止する日』という映画に出てくる巨大なゴートという銀色のロボットみたいなのがいるんですが、あれもトラウマ級に怖いんですよね。
ゴートを見た時にMOTHERで感じた怖さが久しぶりに蘇りましたよ。
MOTHERというゲームは怖い と思う理由その③
ホーリーローリーマウンテンが怖い
だいぶ後半、クライマックスに登る山ですが、何よりBGMがすっごく怖い。
「デン・デン・デン・デッ・デー」そんなリズムで低音が鳴り響く。
この先に楽しく明るいイベントなんて、100%あり得ないと確信させるような恐怖があります。
もちろん予想通り、楽しいイベントなんてこれ以降には用意されていません。
さらわれた人々がカプセルに入っているのが怖い
山の中の洞窟に所狭しと敷き詰められたカプセル。
その中にさらわれた大勢の町の人々が!!
だださんは、このゲームを初見では友達がプレイしているのを横で見ていたので
ここに至るまでのストーリーもよくわからずにいたこともありますが、子どもながらに
「なんてとんでもない描写なんだコレは」と怖くなった記憶があります。
宇宙人が侵略しにきたという設定が怖い
結局はこれですね、一番の恐怖は。
だってこのMOTHER以前のRPGは魔王とかドラゴンとか邪神とか、
「勇者よ世界を救ってくれ!」と王様に頼まれて、レベルを上げながら戦っていたんだもの。
それがこのゲームでは宇宙人の襲来だもの。
UFOとか宇宙人とか未知の物が出てくるうえに、機械的だったり無機質な存在で何考えてるかわからない話の通じなさそうな相手ばかりなのでそりゃ怖いわ。
ラスボス相手とは思えないBGMが怖い
いよいよラスボスとの生死を賭けた戦いが始まる!
コイツを倒して、さらわれたみんなを助けるぞー!!
なんて気持ちには絶対にならない超不気味な電子音のような音が鳴り響く…。
ピーピョロロロー…
こんなラストバトルのBGMがあるか!FAXでも送られてくるのかと勘違いするような無機質な音。
ラスボスだけど、物理攻撃では絶対に勝てそうにない絶望的な恐怖感と力の差を感じる。
糸井重里さーん!
「エンディングまで、怖がるんじゃない」
の間違いではないでしょうかー!?
でもやっぱり、MOTHERというゲームは泣ける。
こんな感じで、MOTHERは大変人気の高い作品ですが、結構怖いシーンが随所に盛り込まれているんですね。
もちろんそれも含めてこのゲームの魅力なんですけどね♪
今回の記事ではずっと怖い怖いと言っておりますが、それは対称的に感動するシーンが多々あるがゆえなのです。
家族の愛や友情、小さな恋愛など心が暖まるシーンがたくさんあるのですがだださんが大好きなシーンは
【マジカント】という不思議な王国に存在する女王【クイーンマリー】が役目を終えて消える時。
私の個人的な考察になりますが、マジカントとはクイーンマリーの意識が生み出した精神世界だと思っています。
かつてUFOによって連れ去られ遠い星で過ごした夫婦、ジョージとマリア。
そしてその夫婦に子どものように可愛がられたギーグという宇宙人の子ども。
クイーンマリー(=マリア)がずっとギーグを大切に思い、愛していたということがわかるセリフがあるんです。
ああ…ギーグ…。本当の子供のようにかわいがったのに…
しっぽをふってた赤ちゃんだった…子守り歌を…でも…
ああ、ジョージ!あなたの妻のマリアです。
あなたの待つ天国に、私も今からむかいます。-MOTHER クイーンマリーのセリフより
この言い回しが、とても愛に満ち溢れていて心にグッと来ます。
そしてマジカントが消えた時に感じる虚しさったら無いんです。
ゲームの中でそのような描写がハッキリとあるわけではないけれども、主人公とクイーンマリーの関係に気付いた時なんかもね。
大切な人を失ったかのような喪失感に近い気持ちになるわけなんですよ。
MOTHERが名作と言われる理由
MOTHERという作品で最も重要な要素、それは「エイトメロディーズ」という8つのメロディで構成された歌。
このメロディはその昔、まだ子どもだったギーグにマリアが歌ってあげていた子守歌。
そしてラストのバトルでギーグに地球侵略を諦めさせる(戦意喪失)ことが出来る歌でもあったわけですね。
ただでさえ超美しいメロディな上、この綿密に計算された設定に度肝を抜かれました。
ラスボスを歌で倒すなんて後にも先にも聞いたことがないし、おそらくMOTHERだけですよね。
また、主人公たちがエイトメロディーズを歌ってギーグを大人しくさせるまでの演出にクイーンマリーの愛情を感じます。
ギーグ自身の心の葛藤が物凄いんです!
子供の頃にこの作品に出会えて本当に良かったな。
こんな唯一無二の要素をよく思いついたものだなと子どもながらに感動しましたよ。
やっぱりゲームって大人になるまでの成長過程で絶対になくてはならないものだと、だださんは思います。
ということで、今回はこのゲームの魅力について思い出とともに書いてみました!
MOTHERは2も3もプレイしましたが、結局私は1作目が一番大好きなのです。
毎日ワクワクしていた小学生の頃の思い出だからなのかも知れませんが、MOTHERシリーズというゲームの土台を作った記念すべき第一作であり、それまでのRPGには無かった要素がふんだんに盛り込まれた愛がたっぷりの「心を癒やす」ゲームなのだと思います。
どこか心が癒やされるからこそ、老若男女問わず令和の時代になっても愛され続けているのでしょうね。
この作品は例えば映画で言うところのオリジナル版がずっと愛されるようにグラフィック・音楽含め全てがあの当時のまま変わらずにあるところも魅力だと思っています。
安易に最新のグラフィックでリメイクなどせずに、ずっとレトロな匂いのまま語り継がれていって欲しい。
ゲーム史に残る素晴らしい作品であり続けてほしいと思います。
今回も最後までお読み下さいまして、ありがとうございました。
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